メディアのフィードを眺めていると、よく目にする、耳当たりの良い魅力的なフレーズがあります。しかし、このわずか数語のタイトル(「リーダーをいかにトレーニングするか」)自体が、現在主流となっている人材開発アプローチに深く根付いた、時代遅れの固定観念を露呈させています。

本題に入る前に、一つ重要な区別をしておく必要があります。これは、私が日本で10年以上にわたりリーダーシップ教育に携わってきた中で、最も重要だと確信している区別です。大学生から企業の経営幹部まで、あらゆる世代・段階のリーダー候補たちが「これまで本当の意味で理解していなかった」と口を揃えるもの。それは、「マネジメント」と「リーダーシップ」の区別です。

簡潔に言えば、マネジメントとは、組織やチームを円滑に運営することです。優れたマネージャーは、限られたリソース(時間や予算)を賢明かつ適応的に配分し、プロジェクトを計画し、ポリシーを執行し、プロトコルや手順を遵守します。マネジメントの効果は直接的で、目に見え、測定可能です。質の高いマネジメントは、組織に安定性と健全性をもたらします。

対して、リーダーシップとは「変革」であり、人々やその仕事を新たな場所へと前進させる実質的な変化を生み出すことです。優れたリーダーは、人々に新鮮な視点を与え、リスクを取り、実験し、探求し、創造し、そして安定という心地よい場所から踏み出すよう促します。リードすることとは、ビジョンを提示し、動機付け、方向性を合わせ、革新へのインスピレーションを与えることです。リーダーシップの効果は間接的で、拡散的、かつ繊細なものです。質の高いリーダーシップは、人々の心の中に「ポジティブなエネルギー」として現れます。

日本では、「マネジメント」と「リーダーシップ」という言葉が混同して使われることがよくあります。もちろん、行動や状況において重なる部分はあります。しかし、もし私たちが真にリーダーを育成しようとするならば、リーダーシップを一つの独立した追求対象として捉える規律を持たねばなりません。マネジメントとリーダーシップは、異なるマインドセットとスキルセットを必要とする「異なる活動」であると認識すべきなのです。

「認知的スキル」と「非認知的スキル」

スキルのカテゴリーには多くの種類があり、企業はそれぞれのニーズに応じて独自の基準を設けています。私の教育現場では、スキルを「認知的スキル(Cognitive skills)」と「非認知的スキル(Non-cognitive skills)」に分けて考えるのが有用だと感じています。

  • 認知的スキル: 教室でのテストや入試、採用面接などで得られる資格や実績の土台となるものです。測定や追跡が容易です。多くのプロフェッショナルにとって、高度な認知的スキル(数学的能力、情報の整理、論理的推論)こそが、志望する学校や職を得るための武器となってきました。私たちはこれらを磨くために、明示的に努力を重ねます。
  • 非認知的スキル: 認知的スキルとは対照的に、これら非認知的スキルは測定や追跡が困難です。その多くは「関係性」に関するものであり、自分自身、他者、そして周囲の世界との関わり方に関わりますに起因しています。例えば、好奇心、共感、自己認識、忍耐強さなどです。これらは人生やキャリアを歩む上で中心的な役割を果たすスキルですが、幾何学や外国語、新しいソフトウェアの習得のように、意図的な積み上げの対象となることはほとんどありません。スポーツや音楽、読書、ボランティアなどは非認知的スキルの形成に役立ちますが、通常、私たちはその目的のためにそれらの活動を行うわけではありません。

認知的スキルを「ハード」、非認知的スキルを「ソフト」と呼ぶ人もいるでしょう。しかし、習慣的に認知的スキルの方を重視してしまわないよう注意が必要です。なぜなら、現代のリーダーシップには、洗練され、思慮深く展開される「非認知的スキル」が不可欠だからです。

私は、専門分野のエキスパートとして高い地位にあるプロフェッショナルたちが、「非認知的な領域に時間や労力を割いたことがない」と認める場面にたびたび遭遇します。しかし、彼らがキャリアを積むにつれ、リーダーとして成長するためには、対人関係スキル(リレーショナル・スキル)の構築に確固たる、持続的な焦点を当てる必要があることに気づくのです。

今や至る所で重視されている「ステークホルダー・エンゲージメント」を考えてみてください。今日のリーダーは、以前よりもはるかに積極的に、ビジネスに関する多様な視点や、自身の決定に利害関係を持つ人々と向き合わなければならないのです。

リーダーシップは「トレーニング」ではない

以上の理由から、私はリーダーシップは「トレーニング(訓練)」が必要なものではないと提案します考えます。「トレーニング」とは、すでに持っている道具やリソースを効果的に使うためのものです。組織の能力を継続的にアップグレードするためにトレーニングは重要です。私たちはマネージャーをトレーニングします。ITシステム、財務分析、人事ポリシー、AIの導入についてなどです。マネジメントに昇進した人は、より効果を上げ、測定可能な成果を出すために、新しいツールを学ぶことに意欲を燃やすでしょう。

しかし、リーダーシップは「個人の選択」です。リーダーの役職に就いたからといって、その人が他者を導く(リードする)かどうかは分かりません。プロセスを管理することはあっても、人を導くことはしないかもしれません。実のところ、リーダーとは「自選」するものなのです。

本人が「リードしたい」と願い、自分にとって「うまくリードする」とはどういうことかを言語化し、他者と共有できる明確で正当な理由を持っている必要があります(これこそが「オーセンティシティ Authenticity(自分らしさ)」の実践です)。

リーダーを目指す人々は、あらゆる種類のスキルや「行動」に取り組むことができますし、取り組むべきです。しかし、その努力を実際にリーダーシップ開発に結びつけるために最も重要なのは、「自分が優先するスキルや示す行動は、人間、仕事、自分自身、そして自分の能力に対する日常的な思い込み(アサンプションAssumption)に深く根ざしている」という絶え間ない自覚です。エグゼクティブ・サーチにおいて、私はそのようなレベルの自覚を持ち、時間をかけて内省し、学び、成長してきた実績のある候補者を探します。そして、彼らが他者のリーダーシップを育てるために、どれほど、そして具体的にどのように取り組んできたかを見極めます。

リーダー育成に真剣に取り組む組織は、そのプロセスには「時間」がかかることを受け入れなければなりません。斬新で創造的、かつホリスティック Holistic(包括的)な方法で候補者を見出し、新たな挑戦や可能性のある未来の探求を通じて、彼らを自己発見のプロセスへと導く必要があります。

オープンエンド(正解のない)な問いを投げかけ、彼らが自ら答えを導き出すのをガイドすること。パーパス(目的)やビジョンを構築するのを支援し、それを存在感と説得力を持って伝えるサポートをすること。候補者の挫折や失望を許容し、人生のあらゆる領域における大小さまざまな勝利を共に喜ぶこと。

リーダーが真に「リード」するとき、彼らは自らの意思で、自立した自己表現としてそれを行います。彼らが人間として、またプロフェッショナルとして進化を遂げたとき、組織はより強固なものになるはずです。