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Redefining Office Work

オフィス勤務の「再開」ではなく、「再定義」を

この記事は人事オペレーション、給与、福利厚生、HRビジネスパートナーのエキスパートである友人の岡本弘基氏によって書かれたものです。彼は日本でSalesforce、Prudential、GEなどの大手多国籍企業に勤めてきました。ここに書かれている意見は彼自身のものであり、彼の勤めている企業の意見を表すものではありません。Visit here for the English version of this article.Makana Partners 皆オフィスに戻りたがっているのか? (これは、現在勤めている/過去勤務した会社の公式見解ではなく、私自身が人事として業務をするなかで、思っていることです。)  「コロナ禍」という言葉が日常用語になって1年ちょっと経過しました。その中で、先日日経ビジネスで発表された「『日本人はオフィスに帰る』外資不動産ファンドCEOの確信」という記事を見て、考えさせられてしまいました。記事によれば、この不動産ファンドCEOは、「コロナ後に働き方が多様化する可能性はありますが、オフィスの機能は維持されて多くの人が職場に回帰する」「ワクチン接種率が上がってくれば再び職場に集まる」「顧客との会合もオフィスに会いに行くという従来のやり方に戻っていく」と予測されているようです。 同じ日経ビジネスの特集にある「テレワーク、やめるか続けるか」特集の別の記事によれば、週5日のテレワーク利用が昨年5月では25.4%の利用率だったようですが、それが今年4月では12.6%まで低下しているとのことです。  これを見ていると、不動産ファンドCEOの言う通り、日本人は根強いオフィス回帰志向があるように見えます。   一方で、パーソル総研の調査では、コロナ禍が収束したとしてもテレワークを続けたいかどうか、という質問において、「続けたい」「やや続けたい」回答した割合が、78.6%になったそうです。若い世代だけではなく、男性50歳代でも74.2%がそう回答していることを考えると、テレワークを経験した全世代でそれを続けたいという意志が見て取れます。  個人としてはテレワークを続けたい、が、組織としてはオフィスに回帰したい、させたいとも見えるのですが、本当にそうなのでしょうか。 ※ここでの「テレワーク」は、以前の拙稿で整理した定義の中の3種の在宅勤務を指すと仮定します。 「恒常的在宅勤務」:オフィスに所属せず、恒久的に自宅から勤務する形式。地方移住等が視野に入ってくる。「限定的在宅勤務」:週に1-2回、もしくは月に2-3回オフィスに通うけれど、自宅からの勤務をメインにする「完全自在勤務(WAA)」:WAA(Work from Anywhere and Anytime)ーユニリーバさん等で実施。 状況別の「オフィス勤務指数」  実際に、在宅勤務を続けたくないのか、続けたいのか、人事としていろんな層と話をしていたところ、以下のような区分けが見えてきました。私はそれを「オフィス勤務指数」と呼んでみることにします。 【職種として】 オフィス勤務指数100:工場・店舗・施設で接客・サービス・作業をする必要がある職種⇒在宅勤務が不可能な、いわゆるエッセンシャルワーカーオフィス勤務指数50:営業等で、接客・サービスをした方がスムースに作業が完了する、もしくは在宅勤務はできるが、顧客からの要望で相手方に出向く必要がある、あるいは押印や書類作業が多くオフィスに来ることが時折求められる職種オフィス勤務指数0:業務上、自宅から勤務することが可能な職種 【会社・組織の制度】 オフィス勤務指数100:在宅勤務制度がない/認めていない、在宅勤務をするためのIT環境がないオフィス勤務指数50:在宅勤務制度はあるが、週に2日までというような上限があるオフィス勤務指数0:在宅勤務制度があり、会社としてのIT環境も揃っており、上限がない 【社員の成熟度】 オフィス勤務指数100:入社直後等で、社内特有のスキル習得、社内ネットワークの拡充が急速に必要な時期。指導社員と同一空間に勤務し、一挙手一投足を観察する、もしくはすぐにわからないことが質問できる環境にいることが重要な時期オフィス勤務指数50:ある程度一人で働くことはできるが、働き方についての指導監督が時折必要な状態オフィス勤務指数0:上長からの監督なく、十分にパフォーマンスが発揮できている状態 【自宅環境】 オフィス勤務指数100:在宅勤務をする環境が整っていない(ネットワーク、オフィス機器、間取り、家族環境等)オフィス勤務指数50:一応在宅勤務はできるが、オフィスのほうが快適であるオフィス勤務指数0:在宅勤務に何ら支障がない 【個人選好】 オフィス勤務指数100:オフィスで勤務することを好むオフィス勤務指数50:たまにオフィスで勤務することを好むオフィス勤務指数0:オフィスに全く行かなくとも平気 ----------  こう考えると日本において、一見オフィス回帰志向が強いように見えるのは、個人の選好に関わらず、「職種」×「制度」×「自宅環境」による制約が多いため、と私は考えています。 コロナ禍が続く今、人事として考えるべきこと  さて、政府はコロナウイルスの第4波到来にあたり、休暇やテレワークで出勤者の7割減を求めているようです。昨年4月からほぼ4ヶ月毎に波が来ている現状(第1波=2020年4月下旬、第2波=2020年8月上旬、第3波=2021年1月)と、ワクチンがまだ行き届かない現状を鑑みると、第5波、第6波も予測され、当面企業としてどうやって出社率を抑えるかを考えなけれければなりません。では、上記のカテゴリに沿って考えた時に、企業人事としてできることとはなんでしょうか。  人事がすぐに手をつけそうなところは、「会社・組織の制度」を改訂することです。在宅勤務制度を、ITシステムの側面からも、人事制度からも整えることは必要となるでしょう。ただし、それだけでは実効性に疑問符がつくので、営業職においてはどれだけ出社や顧客訪問を減らせるか、事務職においてはどれだけ書類や押印作業を減らして電子化できるか、という「職種」に起因する問題を会社全体で取り組む必要があります。  同時に、社員の自宅環境にも気を配る必要があります。ビデオ会議をするたびにフリーズするような細いネットワーク回線を使うことを社員が強いられていないか、腰痛を引き起こすような体勢で仕事をさせていないかどうか、会社として費用負担を考えるべきです。その資金を捻出するために、通勤手当の廃止や、オフィススペースや出張旅費の削減等が必要になるかもしれません。  「制度」「職種」「自宅環境」まで整ったあと、残る出社対象者は、「社員の成熟度」に関わるところです。リモート環境で入社した社員の立ち上がりは、どこの企業でも課題を抱えているように思います。  実際、私も「これまでは、中途採用した人が不安げな顔をしていたり、何かを抱え込んでいるときには、『どうしたの?』と声をかけやすかったし、逆に彼らからも声をかけてもらうことがしばしばであった。リモート下では、たとえ定期的なチャット時間を持ったとしても、タイムリーな悩み相談等を持つことがなかなか難しい」という声を聞くことがあります。入社してある程度落ち着くまでの間、オフィス出社をさせたほうが良いという声は、こういったところに基づくのかもしれません。  しかし、これを「仕方がない」と認めると採用~入社が定期的にある企業では、いつまでたっても指導社員役やマネージャーが出社を続けざるを得なくなります。指導社員をローテーションさせるほど人員がいない組織もあるでしょうから、ここは「新入社員が業務の相談がしやすくなる」バーチャルな方法を立案する必要があるように思います。個人的には、アバターをつかったバーチャル出社システム(Sococoや、Remo)がどれだけコミュニケーションの課題を解決できるのか、興味があるところです。 出社7割減を実現するために、日本全体で取り組むべきこと  このように在宅勤務については、全社員を十把一絡げにするのではなく、上記のようなカテゴリに分けて対策を考えていくことが必要だと考えます。  一方で政府に対してお願いしたいのは、出社7割減を実現するカルチャー変革のための大規模な宣伝投資と、役所から始まる働き方改革です。例えば、「営業においてはお客様と顔を合わせず業務をするのは失礼」といったような風習がまだ見られるようですが、これは「オフィス訪問してくれるところは丁寧だ」という顧客側の期待値が要因として考えられます。本来、オフィス訪問をせずとも、十分な説明を顧客が受けられて、得られるサービスが同一であれば問題ないはずですが、こういった慣習は、なかなか一朝一夕で代わるものではありません。  今では一般的になった「クールビズ」は、2005年環境省のイニシアチブで始まりました。当時の環境大臣は、今の東京都知事である小池さんです。本当に出社7割減に実効性をもたせるのであれば、カルチャー変革のための意識変革を、まずは東京都庁、政府・政治家から徹底的にやっていただければ、民間企業にもそれが伝播し、新しい慣習となるように思います。 ポストコロナにおける働き方の再定義-「オフィス勤務再開」ではなく「再定義」  その上で、オフィスで勤務するのは、あるいは顧客側に訪問するときにはどういうときであるべきか、というのを我々一人一人が再考する必要があります。オフィス勤務の「再開」(Reopeon)ではなく、オフィス勤務の「再定義」(Redefinition)が必要とされているのです。  オフィスに来るのに、「目的」と「意識」が必要になるとすれば、オフィス勤務が、特別な機会に行われていたオフサイトミーティングのようなものになるかもしれません。経費と時間をかけて、メンバー全員が顔を合わせることに対して、ROIをしっかり出せるように工夫を求められる時代が来たとも言えます。

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人事求人 CHRO head of HR jobs

革新的な5件の人事求人

1. CHRO - フィンテック・スタートアップ企業 (東京)  東京に拠点を置く非常にユニークなフィンテック企業にて、CHROを募集しています。レポート先は創業者兼CEOで、小さなチームをリードします。  「金融サービス基盤(金融サービスクラウド基盤)」のようなシステムを提供することで、顧客との接点が強い様々な非金融業(流通、運輸、インターネットなど)が、既存のサービスに組み込み、証券や保険などの金融サービスを開始することができます。本企業のクラウドネイティブでAPIを駆使した金融インフラは、従来に比べて劇的に低い初期費用、従量制の運用コスト、迅速な開発、拡張性の高いシステム設計を可能にします。  立ち上げメンバーのうち数名は現在も在籍しており、企業の70%が従業員所有の安定した会社であり、将来的には上場の可能性もあります。  本役職に期待されることは、人材の採用、トレーニング、評価、従業員エンゲージメントなどですが、必ずしも人事のスペシャリストである必要はなく、大企業の人事部で働いていた方よりも、ベンチャー企業でCEOと非常に密接に仕事をして小さな会社を成長させたいという思いがあり、株式公開の経験がある方を求めています。英語力は必須条件ではありませんが、英語力が高いと選考の際に有利になります。また成績優秀者には、現金報酬に加えて自社株購入権が提供されることもあります。  2. 人事統括責任者 – 革新的なフィンテック企業 (東京)  企業:2008年に設立され、消費者がオンラインで買い物するための金融サービスを提供しています。  採用の背景:入れ替え  職務内容:本役職は企業(人事、総務、コンプライアンス)の副社長にレポートし、大規模のチームを管理しながら、人事のすべての領域を担当します。そして人材開発、業績管理、多面評価などの分野で重要なプロジェクトを担います。優秀なリーダーシップチームのパートナーとして、頭脳明晰で戦略的、流暢な日本語と英語を話し、企業の文化である実践的な方を理想としています。  企業文化:オフィスでは多国籍の社員が働いており、文化は驚くほど多様です。スタートアップ企業なので、ダイナミックでペースが速いのも特徴です。信頼関係が構築されると、事業の目標達成のために様々な人事施策を推進するための多くの権限が与えられます。論理的で、自身の意思決定を説明でき、人事施策のビジネスへの影響を追跡できる方を求めています。  レポート先:副社長  3. 人事統括責任者 - 市場をリードする消費者ブランド企業 (東京)  会社概要:同社は業界ナンバーワンの地位を維持するために、IT変革(Eコマース、デジタルマーケティング/コミュニケーションなど)、持続可能性、文化的変革(柔軟性と迅速な意思決定を可能にすること)に注力しています。日本と世界に大きな足跡を残しており、そのビジネスは着実に成長しています。  職務内容:本役職は上述の3つのエリアに適合し、イニシアチブを推進するための多くの自律性を必要とします(底上げと局地化など)。そして少人数のチームを管理し、地域やグローバルの関係者と密接に連携していきます。  企業文化:非常に多様性に富み、様々な国籍の社員がいます。  レポート先:カントリーマネージャー  4. タレントマネジメントマネージャー - ダイナミックで革新的な消費者ブランド企業 (東京)  会社概要:革新的で非常に効果的な本企業は、デジタルマーケティング、伝統的なマーケティング、物流・供給連鎖管理、データ分析、コミュニケーションなどの分野で、近年大きく変革することができました。社員は1000人を超え、世界的に見ても最も先進的な企業です。  採用の背景:入れ替え  職務内容:事業目標を達成するために適切な人材を組織に確保し、短期・中期目標の人材計画戦略と目標を開発・実施します。またすべての重要なポジションへの持続的なパイプラインと後継者を確保するために、リーダーシップ開発策(グローバルプログラムの局地化を含む)を設計、開発、実施します。本役割は1名のタレントマネジメントエグゼクティブ(業績管理者)を管理しますが、構造は変更される可能性があります。  企業文化:革新的、国際的、ハイパフォーマンス、技術的先進性  レポート先:タレントマネジメントグループマネージャー  5. HRBP/Talent Management Manager - 高性能メーカー企業 (横浜)  全世界で2万人以上の従業員を擁し、売上高は50億米ドルを超えています。非上場の民間企業で、高性能の製品群を持ち、コロナ禍でも好調な成績を維持しています。  本役職は二役を担い、タレントマネジメント(人材評価、人材開発、新しい人材を発掘するためのアセスメントセンター、業績管理、指導)と、財務、マーケティング、そして合計100名の従業員を抱える小規模なビジネスユニットのためのHRビジネスパートナーのすべてを担当します。またレポート先は人事統括責任者で、その後継者となる予定です。当社は人材育成に多くの資源を投入しているため、社内でも注目度の高いポジションです。そしてAPACのタレントマネジメントリーダーと密接に連携することになります。  本役職にはHRBPおよびタレントマネジメントの経験が必要で、流暢な日本語とビジネスレベル以上の英語力も求められます。またB2B業界での経験がある方を理想としています。報酬は、基本給+15%のボーナスで構成されています。現在は会社全体でリモートワークを行っていますが、状況が落ち着いた後は出社とリモートワークの両方を導入する予定です。  https://makanapartners.com/contact/

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