意味
シニアの人材が転職するとき、手放すものは現在の年収だけではありません。受け取る直前の賞与、まだ権利が確定していない株式報酬、長年積み上げてきた退職金。こうした「辞めることで失うもの」を、新しい会社が現金や株式で埋め合わせるのがbuyoutです。
形はさまざまです。現金のsign-on bonus、失う株式と同程度の価値・期間で付与する代替のRSU、初年度の賞与の保証などを組み合わせるのが一般的です。
面接・オファーでこう使われる
- 失うものを一覧にする。 未確定の株式(確定日ごと)、今年度の賞与の見込み、退職金の自己都合での支給見込みを、金額と根拠つきで整理します。
- 書類で示す。 付与通知、賞与の支給実績、退職金規程の試算など、裏づけを求められるのが普通です。曖昧な数字は信頼を損ないます。
- 早めに伝える。 オファーの形が決まった後で「実は失うものがある」と伝えても、予算が取り直せないことがあります。
日本での扱い
日系企業から外資系に移る場合、最大の論点は退職金です。勤続20〜30年のシニアなら、退職金は生涯報酬の中でかなり大きな部分を占め、自己都合で途中退職すると減額される規程も多く見られます。この差を何も手当てしないオファーは、提示額がどれほど大きく見えても、実質的な減収と受け止められがちです。
税金にも注意が必要です。日本の退職金は退職所得として、控除や課税の軽減が大きい扱いを受けます。一方、それを補う一時金は通常の給与として課税されます。額面が同じでも、手取りは補填のほうが少なくなることがあります。
例文
To make you whole, we'll replace your unvested RSUs with a 9 million yen grant vesting over two years, and pay your forfeited bonus in cash on joining.
損失を補うため、未確定のRSUの代わりに2年で確定する900万円相当の株式を付与し、受け取れなくなる賞与は入社時に現金で支払います。
注意点
将来積み上がるはずだった退職金まで全額補填されることは、まずありません。補填の対象になりやすいのは、すでに積み上がった分や、確実に失う分です。代替の株式や一時金には、新しい返還条項や確定期間がつくことも忘れないでください。