意味

PIPは、上司と人事が作る改善計画です。一般的には次の内容が文書にまとめられます。

  • 期待に届いていない具体的な点
  • 改善の目標と、それを測る基準
  • 期間(30日、60日、90日などが多い)
  • 上司との定期的な面談や研修などの支援
  • 期間終了後に想定される対応

形式上は「改善の機会」ですが、米国など解雇が比較的容易な国では、退職に向けた手続きとして使われることも少なくありません。

社内でこう使われる

PIPを告げられた社員が取るべき行動は、慌てて辞めることではなく、内容を正確に理解することです。

  • 目標が具体的で達成可能かを確認する。 曖昧な目標や、期間内に達成できない水準なら、面談の場で具体化を求め、やり取りをメールで残します。
  • 記録を取る。 面談の日時と内容、受けた支援、自分の成果を、時系列で残しておきます。
  • PIPの指示には誠実に取り組む。 PIPは業務上の指示と考えられることが多く、拒否すると不利になるおそれがあります。

日本での扱い

日本には米国のような随意雇用(at-will employment)はありません。労働契約法16条により、解雇には客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が必要です。能力不足を理由とする解雇について、裁判所は一般的に、能力不足が雇用を続けられないほど重大か、会社が具体的な指導や改善の機会を与えたか、といった点を見ます。

PIPはその「改善の機会」を記録する手段として使われますが、PIPを実施したことだけで解雇が有効になるわけではありません。PIPを繰り返した後の能力不足による解雇が、裁判で無効とされた例もあります。そのため日本では、PIPの後に解雇ではなく、条件を示した退職勧奨(合意による退職の提案)が行われることが多くあります。退職勧奨は断ることができ、執拗な勧奨は違法と判断されることもあります。応じる場合も、退職日、上乗せの退職金、有給休暇の扱いなどは交渉の対象です。なお、雇用保険の手続きでは、会社からの退職勧奨による離職は、一般に会社都合(特定受給資格者)として扱われます。

例文

We're putting you on a 60-day PIP, with weekly check-ins and three specific targets for the quarter.

60日間の業務改善計画を実施します。毎週面談を行い、今四半期の具体的な目標を3つ設定します。

注意点

退職勧奨に応じる前に、提示された条件を書面で受け取り、その場で署名しないでください。判断に迷う場合は、労働問題に詳しい弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。